〜期待される成果〜


・赤外線領域における観測の高分解能化

 FITEは赤外線領域での観測の高分解能化を目指している。 分解能が高くなることで、これまでの観測では"潰れて"しまった細かな領域を観測することができる様になる。
それでは、より細かな領域が見られるようになることで、どのような成果が期待できるのであろうか。 赤外線の領域には多くの原子線や分子線、また宇宙塵のPAHや氷のラインが存在している。 こうしたラインを持つ物質の分布がどのようなものであるかわかるようになることは、十分有益な成果である。
〜高分解能化によって期待される成果〜
  1. 星生成過程が明らかになる。
  2. 系外赤外線銀河の正体を明らかにする。
  3. 光解離領域(Photo Dissociation Region)の研究。
  4. 系外惑星の検出
… 以上のような科学的発展を期待できるのである。 それぞれがどういった内容であるかは以下で軽くふれたいと思う。


1.星生成過程が明らかになる。

 星が生成される領域は、その星の元となるガスやダストなどが密集している。 このガスやダストの集団がどのような形をしているかは電波観測によって知られている。 しかしこれまでは赤外線による観測の分解能が悪かったために、 その領域がどのような温度分布をしているのかを観測することができなかった。 そのため高分解能化によって温度分布がわかるようなれば、ダストがどのような動きをしているのか、 その密度は、などといった情報が読み取れるようになる。
また星が誕生する前にはその周りの低温なダストからの熱輻射が見られるが、 星が誕生すると紫外線が放射されるようになる。これは周りのダストに吸収されてしまうため直接観測することはできないが、 ダストによる遠赤外再放射によって間接的な観測が可能になる。


2.系外赤外線銀河の正体が明らかになる。

 ULIRG※などの系外赤外線銀河は正体がまだよくわかっていない。 AGN※やスターバースト銀河※ が候補となっているが、 AGNはその中心部分の構造を観測的に明らかにできていない。 スターバースト銀河も同じように大規模な星生成がどこで行われているのかを明らかにしていかなければならない。
※ULIRG
超高光度赤外線銀河(Ultraluminous Infrared Galaxies)
クエーサーに匹敵する高エネルギー源をダストの奥に持つ銀河。 背後のエネルギーがダストに吸収されそのダストが赤外線を出すと考えられる。 エネルギー源については諸説ある。(以下のAGNなど)

※AGN
活動銀河中心核(Active Galactic Nuclei)
100万から100億太陽質量もの質量を持つような超巨大ブラックホールに、 物質が落ち込む際の莫大な重力エネルギーの解放によって輝いている天体。 つまりは銀河中心核である。ブラックホールの成長過程である。

※スターバースト銀河
通常よりも激しく星生成が行われている銀河。二つの銀河の衝突などが原因であると考えられている。



3.光解離領域の研究

 光解離領域※においては、破壊された分子のかけらが反応的であるために豊富で複雑な化学反応が起こる。 生成された物質はその種類により固有の赤外線を出すが、 これまでは分解能が低かったために光解離領域のどこでどんな物質があるかの観測はできていなかった。
高分解能になることで、これらの理解が進むと期待される。
※光解離領域(Photo Dissociation Region)
冷たい分子雲に星の輝きが入ると、その分子が解離(破壊)されることを光解離とよぶ。
雲が薄く広がっていればほとんどの分子が壊される。しかし雲が密であるならば光が吸収されるまでに進む距離は短い。 そのため光解離領域は分子雲の縁か境界である。


4.系外惑星の検出

 現在までで発見された系外惑星は、200あまりにのぼる。 その全てがドップラー法、トランジット法、重力レンズ法などの間接的な観測方法によるものであった。
惑星自身の光を中心星から分離する直接検出は、中心星に比べて惑星の光度が非常に小さいため困難である。 しかし高分解能をもつFITEを発展させていけば、系外惑星の直接検出も不可能ではない。
※ドップラー法
惑星が中心星の周りを公転する際、惑星の重力によって中心星はわずかながらも揺れる。 この揺れを中心星から来る光のドップラーシフトとして観測する方法。

※トランジット法
惑星が中心星を横切ることによって中心星が周期的に減光する現象を測定する方法。

※重力レンズ法
一般相対論によると、質量のあるところでは空間が歪むので、 光の経路も曲がり像が歪められる。この効果を重力レンズという。
恒星程度の質量でも規模は小さいが、同様の効果が起こると予測される。


担当:狩野良子
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