研究室紹介
本研究室では、地上望遠鏡やスペース望遠鏡を用いた赤外線観測(可視光、サブミリ波を含む) に
より、宇宙諸現象の研究とそのための装置開発を行っています。
特に、太陽系外惑星(系外惑星) の形成過程の解明に焦点をあて、将来は太陽系外生命現象の検出を目指しています。
また、重力波天体(ブラックホール、中性子星連星)の光学的同定、銀河系の構造、暗黒物質、恒星・連星系などの研究も行っています。
MOAプロジェクト (Microlensing Observations in Astrophysics)
これまでに 4 千個以上の系外惑星が発見されていますが、惑星形成研究で重要なスノーライン外側で地球程度の軽い惑星の発見例は僅かです。
そこでニュージーランドに設置した専用の 1.8m 広視野望遠鏡 「MOA-II」を利用し、重力マイクロレンズ現象を用いて、その様な系外惑星を探査しています。
名古屋大学、Auckland 大学、Massey 大学、Canterbury 大学、NASA との共同研究です。
詳しくはMOA HPへ
PRIMEプロジェクト(Prime-focus Infrared Microlensing Experiment)
惑星形成の理解に重要となる系外惑星を多数発見するための近赤外重力マイクロレンズサーベイ観測を世界最大級の規模で行う、
PRIME(Prime-focus Infrared Microlensing Experience)計画を進めています。
これは、NASAの将来計画Roman宇宙望遠鏡のチームが所有する最先端の大型近赤外線検出器を借りることで初めて実現可能となりました。
望遠鏡には重力マイクロレンズ探査に特化した口径1.8mのPRIME望遠鏡を南アフリカ共和国のサザーランド観測所(SAAO)に新しく建設しています。
本プロジェクトはアストロバイオロジーセンター、名古屋大学、Massey
大学、南アフリカ天文台、メリーランド大学、JAXA、NASA との共同研究です。
詳しくはPRIMEのHPへ。
Romanプロジェクト(Nancy Grace Roman Space Telescope)
2026 年打ち上げ予定の NASA の口径 2.4m 次期大型宇宙望遠鏡
Roman に参加して、スペースからのマイクロレンズ惑星探査を行います。地球軌道の外側の
全ての惑星分布や惑星系形成過程を解明することを目指しています。JAXA、国立天文台、NASA との共同研究です。
地球外生命探査プロジェクト
2040年代に提案されているNASAの6m超大型宇宙望遠鏡ミッションにおける太陽系外生命探査のための検討及び技術実証。
太陽系外惑星の直接撮像や食を利用した惑星の大気分光で、惑星の大気成分を測定し、生命が存在する痕跡(バイオシグネチャー)を
見つけ出すのに必要な、衛星搭載用の非常に安定した装置の開発を行っています。
NASA との共同研究です。
トランジット系外惑星の研究
Kepler, TESS, Gaia, ALMA等の衛星・地上観測データを用いた系外惑星、恒星、原始惑星系円盤の研究を行っています。
惑星の存在頻度やその恒星年齢・金属量・質量への依存性、力学モデルに基づく惑星質量・半径の精密推定、
複数惑星系の軌道構造の解明を通じて、多様な惑星系の形成・進化の過程を明らかにすることを目指しています。
恒星の自転進化・連星系
宇宙望遠鏡による測光観測や、すばる望遠鏡・せいめい望遠鏡による高分散分光観測を組み合わせ、
恒星の自転進化や連星系の形成過程を明らかにすることを目指しています。
最近の話題
○2023年7月19日:住貴宏教授、越本直季特任助教(常勤)(赤外線天文学グループ)の研究チームが、「地球質量の浮遊惑星候補を発見―地球質量の浮遊惑星が多く存在することを初めて発見―」をプレスリリースしました。詳しくはこちらをご覧ください。
○2022年6月10日:住貴宏教授らの研究グループは、米国カリフォルニア大学バークレー校、宇宙望遠鏡科学研究所(Space Telescope Science Institute:STScI、NASA、ワルシャワ大学などと共同で、単独で存在するブラックホールの候補天体を世界で初めて発見しました。詳しくはこちら
○2021年8月27日:越本直季招へい研究員、鈴木大介助教の研究チームが、「遠い軌道を回る冷たい系外惑星が 銀河系内の広い範囲で存在することを解明」をプレスリリースしました。詳しくはこちらをご覧ください
○2021年5月26日:メンバーを更新しました。詳しくはこちら
○2019年4月5日:メンバーを更新しました。詳しくはこちら
○2019年3月14〜17日:日本天文学会2019年春季年会において井戸雅之さん、合田翔平さん、宮崎翔太さん(博士前期課程2年)、近藤依央菜さん、末松春乃さん(博士前期課程1年)が発表しました。
○2018年11月30日:合田翔平さん(博士前期課程2年)の系外惑星大気分光のための高安定分光方式の提案に関する論文が雑誌The Astronomical Journalに掲載されました。
○2018年9月19〜21日:日本天文学会2018年秋季年会において芝井広教授、宮崎翔太さん(博士前期課程2年)が発表しました。
○2018年7月11日:メンバーを更新しました。詳しくはこちら
○2017年9月11〜13日:日本天文学会2017年秋季年会において芝井広教授、越本直季さん(博士後期課程3年)が発表しました。
○2017年8月17日:伊藤哲司さん(博士後期課程2年)のトランジット系外惑星の測光分光のための瞳マスクに関する論文が雑誌The Astronomical Journalに掲載されました。
○2017年6月30日:永金昌幸さん(博士後期課程1年)のマイクロレンズ法による系外惑星の発見に関する論文が雑誌The Astronomical Journalに掲載されました。
○2017年6月9日:越本直季さん(博士後期課程3年)のマイクロレンズ法と高空間分解能観測の組み合わせによる惑星発見及び特徴付けに関する論文が雑誌Astronomical Journalに掲載されました。
○2017年6月8日:平尾優樹さん(博士後期課程1年)のマイクロレンズ法によるMまたはK型星周りでの巨大質量惑星発見に関する論文がThe Astronomical Journalに掲載されました。
○2017年4月5日:メンバーを更新しました。詳しくはこちら
○2017年3月17日:速報:住貴宏准教授が「2016年度日本天文学会 林 忠四郎賞」を受賞しました!! 詳しくはこちら
○2017年2月14日:速報:住貴宏准教授の「2016年度日本天文学会 林 忠四郎賞」受賞が決定しました! 詳しくはこちら
○2017年2月7日:飛翔体搭載型遠赤外線干渉計(FITE)の光学系調整実験について掲載しました。 詳しくはこちら
○2017年2月6日:飛翔体搭載型遠赤外線干渉計(FITE)の検出器評価実験について掲載しました。 詳しくはこちら
○2016年12月15日:新しいFITE実験室に引っ越しました。 詳しくはこちら
○2016年12月14日:越本直季さん(博士後期課程2年)のマイクロレンズパララックスとレンズフラックスのみを用いた初めての惑星質量決定に関する論文が雑誌Astronomical Journalに掲載されました。
○2016年11月2日:大気球シンポジウム(2016年度)において芝井広教授が発表しました。 詳しくはこちら
○2016年10月21日:飛翔体搭載型遠赤外線干渉計(FITE)に関する記事が雑誌「sternzeit」に掲載されました。 詳しくはこちら
○2016年10月13日:飛翔体搭載型遠赤外線干渉計(FITE)における姿勢制御装置を新たに追加しました。 詳しくはこちら
○2016年9月14〜16日:日本天文学会2016年秋季年会において芝井広教授、伊藤哲司さん(博士後期課程1年)、大山照平さん(博士前期課程2年)が発表しました。
○松尾太郎助教の宇宙望遠鏡での系外惑星の大気分光観測のための新しいコンセプトに関する論文がThe Astrophysical Journalに掲載されました。詳しくはこちら(研究成果)
○平尾優樹さん(博士前期課程2年)のマイクロレンズ法によるM型星周りでの土星質量の惑星発見に関する論文がThe Astrophysical Journalに掲載されました。詳しくはこちら(研究成果)
○2014年7月4日:3千光年離れた連星系中に地球に似た惑星を発見〜地球型惑星形成の解明に期待〜。詳しくはこちら(大阪大学HP)
○2014年1月17日:アルマ望遠鏡が見つけた巨大惑星系形成の現場。詳しくはこちら(大阪大学HP)とこちら(国立天文台のページ)
○2013年8月5日:すばる望遠鏡 SEEDS プロジェクト、「第二の木星」の直接撮影に成功。詳しくはこちら(東京大学HP)
○2013年2月7日:太陽系外惑星が作る「腕」の検出に成功しました。詳しくはこちら(すばる望遠鏡HP)
○2012年11月19日:重い恒星の巨大な惑星が発見されました。詳しくはこちら(すばる望遠鏡HP)
○若い惑星の誕生現場に見つかった巨大なすきま。詳しくはこちら(すばる望遠鏡HP)
○円盤中に形成しつつある惑星の兆候をとらえました。詳しくはこちら(茨城大学のページ)
○惑星起因と思われるスパイラル構造を検出しました。詳しくはこちら(NASAのページ)
○重力マイクロレンズ法を使った惑星探索により、親星をもたない浮遊惑星が多数存在していることを発見しました。詳しくはこちら(名古屋大学のページ)
○若い連星系に付随する円盤の複雑な構造をとらえました。詳しくはこちら(国立天文台のページ)
○原始惑星系円盤に関するSEEDSプロジェクトの初期成果が発表されました。詳しくはこちら(国立天文台のページ)
○あかり衛星を使った赤外線観測から、活発な惑星形成活動を示唆するデブリ円盤が見つかりました。また、すばるやスピッツァー望遠鏡により、赤外線を発する塵は、結晶質のケイ酸塩鉱物であることが分かりました。詳しくはこちら(国立天文台のページ)
○「すばる」の新コロナグラフ HiCIAO で、太陽のような星をまわる惑星の姿がとらえられました。SEEDS(下記「研究室紹介」参照)の初期成果です。詳しくはこちら(国立天文台のページ)
○系外惑星の直接撮像に成功しました。「すばる、系外惑星の撮影に成功」 詳しくはこちら(国立天文台のページ)
○原始惑星系円盤の表面に氷が存在することを初めて直接的に確認しました。「すばる望遠鏡、若い恒星周囲の円盤表面に氷を発見 ― 海の材料か?」
詳しくはこちら(国立天文台のページ)
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